ハーネスについて
登山で使用するハーネスとは、ロープを体につなぐ安全ベルト。
一口にハーネスと言ってもいろんな種類があって最初は混乱しますが、軽量のスポーツクライミングハーネスを持っていれば、人工ウォールから岩場までバッチリ♪
おすすめハーネスの前に、種類などをちょっと整理してみましょう。
ハーネスの種類
Full body harness / フルボディハーネス
全身にまとうハーネス。
子供など頭が重いので逆さ吊りにならないフルボディハーネスを用る。
Chest harness / チェストハーネス
チェストハーネスとは、その名の通り胸部に装着。
過去ハーネスと言えば胸部に装着するスタイルしかなかったらしいが、決してチェストハーネス単体で使ってはなりません。必ずシットハーネスとペアで使用。
Sit harness / シットハーネス
シットハーネスとは腰と太ももの下半身に装着。
ぶら下がった格好が座っている様な格好になることからその名が来ている。シットハーネス単独でも使うし、チェストハーネスとセットでも使う。
シットハーネスの種類
Diaper harness / ダイアパータイプ
ダイアパーとはオムツのこと。ウィランスタイプともいうらしい。オムツをあてがうように履き、シューズやスキー板を履いたまま装着可能。
主に歩行と軽量に主眼を置き、携帯にも楽なよう薄いナイロン素材で簡単な作り軽量でザックの隅にコンパクトに持ち運べる。リーダーが救助用に一本ザックの中に入れたり、また難易度の高い登山中、難所通過で万が一が起きないように着用したりするハーネス。
積極的な落下は想定されておらず、ウエストベルトはナイロンの帯程度と簡単なつくりなので、ぶら下がるとわき腹とか食い込んで痛いし、落下の時は結構な衝撃。
Leg loop harness / レッグループタイプ
クライミングにはこっちのタイプ。
レッグループタイプ(セパレートタイプ)とは、落下を前提としたクライミング用。
ロープを固定するタイインループは、それぞれウエストベルトとレッグループに独立しており、ビレイループでつながれている。
落下の衝撃を分散するのに優れているのと同時に、体がねじれず逆さ吊りになりにくい構造。また衝撃に備え、ウエストベルトやレッグループにはクッション構造が工夫してあるので、長時間ぶら下がったとしても痛くない。
上記ハーネスの種類は形状別だが、用途別にも種類を分けたりもする。
“アルパインハーネス(alpine harness)”や“スポーツハーネス(sports harness)”。大雑把には、アルパインハーネスがダイアパーハーネス、スポーツハーネスがレッグループハーネスに相当。
そしてスポーツハーネスは、クライミングギアを装備しやすいようギアループが多い。最近のスポーツハーネスは軽量化が進み、堅牢だと重量が増すという一般論も過去のものとなった。
スポーツハーネスですが、PetzlアキラM 345g、PetzlヒューロンドスM 280gと結構な軽量化を実現。また過去は、長時間歩行にスポーツハーネスはレッグループは太もも裏がこすれて・・・という話も聞いたが、角度など工夫が見られ長時間歩いてもレッグループが邪魔になることはない。
一方、不格好だったアルパインハーネスも負けてはいません。“Petzlアルティチュード”という超軽量ハーネスが登場。レッグループタイプの2点吊りながら、なんと150gという超軽量。ウエストサイズに幅が持たせてあるので、ハードシェルの上からも余裕ですね。
クライミングハーネス各部名称
各部位のネーミングは覚えましょう。
パートナーチェックは、指差し呼称を声に出して行いますし、パートナーに指摘する場合に名称を知らないと困ります。
殆どの名称は理解できるが一部メモ書き。
4. タイインポイントのタイイン(tie-in)とは、結びつける, 抱き合わせる, 調和を取るという意味。また、タイインルームと見かけたことがあるが、出典がイマイチはっきりしない。
9. トレイルラインループのトレイル(trail)とは、引きずった跡,通った跡,痕跡という意味で、ギアラックの一部らしいですが今だ詳細は不明。使ってる人を見たことがない。
クライミングハーネス選びのポイント
素材
激しく摩耗し衝撃が集中するタイインポイントとビレイループに、上位モデルはスリングでおなじみの超素材ダイニーマを使用。強度と軽量化を両立し、さらに摩擦抵抗が低いので衝撃の少ない姿勢を瞬時に復元。
重量
400gを切ればまぁまぁ、350gを切れば軽さを実感、300gを切れば羽のよう・・・は大げさだが相当軽い。
歩行もあるならば、少しでも軽いほうが良いに決まってる。
バックル形状
ダブルバックバックルかシングルバックル。シングルバックルは折り返しが絶対必要。現在ではダブルバックルが主流で、シングルバックルはほとんど見なくなった。折り返したテープの余りは、すっぽ抜けがないよう15cmくらいが望ましいとされている。
調整型レッグループ
レッグループ調節バックルがついている方が靴を履いた後から履ける。ウェアも薄手から厚手まで対応可能。
しかし、バックルがあると故障の原因や重量がかさむという理由から避ける人も多いが、あると意外と便利なときもある。
ウエストベルトのクッション性
最近は、クッション材ではなく、ウエストベルトの幅と形状で衝撃吸収する設計を目にする。例えば“Petzlシッタ”など。よって、一昔前の登山ショップで説明を受けた、ベルト部分が薄いと痛いですよ・・・という時代は変わったようだ。
ギアラックの数と形状
一昔前のアルパインハーネスは、ギアラックの数を減らし軽量化や携帯性、またザックとの干渉軽減を図ってきたが、現在は4つでも十分軽量で邪魔にならないモデルが主流。やはり、ギアラックが多いほど便利。
また邪魔にならない形状とは、フロントギアラックはギアが取り出しやすいリジッドタイプ、リアギアラックはフレキシブルタイプ(フラットタイプ)など、ザックが乗ったときペッタンコになるタイプ。
Twoバックルウエスト調整
ウエストベルト調節バックルが2個ついたもの。
着用サイズがS~XLサイズなど幅広く対応し、タイインループがキチンとセンターにくるように位置調整も可能。
主観だが、2バックルハーネスは、クライミング講習会やクライミングジムなどレンタルで重宝しそう。アルパインでは、重量がかさみ機構が複雑になるハーネスは避けましょう。上位モデルには、2バックルウエスト調整はない。
MAGIC LIZARD 愛用ハーネス
必ず試着して買いましょう・・・と、クライミング各書籍に記載してあるが、実際、鹿児島では不可能。クライミングを真剣に散り扱っているショップはないし、ボルダリングジムでも在庫を抱えているところはほぼない。
ペツルなら倶楽部使用実績のあるのでそう問題は起きない。
Petzl HIRUNDOS / ペツル ヒューロンドス
Petzl ヒューロンドス
高難度クライミングのための軽量で快適性に優れたハーネス。
スポーツクライミングとアルパインクライミングのどちらにも対応するハイエンドモデルです。ヒューズフレームテクノロジーは、軽量でスリムでスッキリとしたデザインにより優れた快適性を提供します。4つのギアループによりギアの整理を簡単に行うことができ、またダブルバックHDバックルにより素早くウエストベルトを調節することができます。ウエストベルトとレッグループのバイアステープ、100%ダイニーマのタイインポイントにより、耐摩耗性に優れています。
Petzl AQUILA / ペツル アキラ
Petzl アキラ
高難度クライミング/マウンテニアリングのための軽量で快適性に優れた調節型レッグループ付ハーネス。レッグループに調節機能の付いた、テクニカルなアルパインクライミングに最適なハイエンドモデルです。ヒューズフレームテクノロ ジーは、軽量でスリムでスッキリとしたデザインにより優れた快適性を提供します。4つのギアループによりギアの整理を簡単に行うことができ、またダブルバックHDバックルにより素早くウエストベルトとレッグループを調節することができます。100%ダイニーマのタイインポイントにより、耐摩耗性に優れています。
Petzl hirundos & aquila promotion.
Petzl SITTA / ペツル シッタ
Petzl シッタ
激しい使用に対応するハイエンドクライミングハーネス。
クライミング、マウンテニアリング用ハーネスのハイエンドモデル『シッタ』は、かつてないコンパクトさ、軽量性、快適性を提供します。 ハーネス『シッタ』に採用されているワイヤーフレームテクノロジーは、ウエストベルトとレッグループにダイニーマを使用することで、最適に荷重を分散し、高い快適性を実現しています。 高難度クライミングに適したハーネス『シッタ』は、クライマーのムーブを妨げません。
Petzl sitta promotion.
上位モデル持っていればオールマイティーということですが沢登りは違います。
性能の問題ではなくて、沢登りはとにかく汚れます。そして、硫黄分の多い霧島の小谷川など、ゴムや化繊を著しく痛め匂いも染みつきます。
沢登りを上位モデルでというのは辛い話。ケイビングハーネスや乱雑に扱っても構わないハーネスを用意したほうが賢明です。