スポーツクライミング指導員とは
“スポーツクライミング指導員” とは、 “日本スポーツ協会(JSPO)” & “日本山岳スポーツクライミング協会(JMSCA)” 公認の “スポーツ指導者資格” です。
スポーツクライミング指導者の中では一番下っ端の資格ですが、内容は、共通科目2日間、専門科目4日間で、指導者としての心得と技術をみっちり仕込まれます。
当クライミング倶楽部では、山岳・クライミング指導員以上のライセンス取得者がCLを務めることができ、そして、CLのみが岩場および人工ウォールで集合の号令を掛けることができます。
取りたいと思ってすぐ取れる資格ではありません。
JSPO と JMSCA 、双方スポーツ指導者の項目を念入りに見ていけば概要が載っていますが、初めての方にとってはとにかく複雑怪奇・・・。
当倶楽部なりにまとめてみました。
それと、指導者と指導員は違います。指導者とは、コーチや上級コーチなどを含む指導的立場にある者すべての総称で、指導員とは指導者の中のひとつの資格です。
混同せぬように。
スポーツクライミング指導員になるには
01. SC指導員になるには
都道府県山岳連盟に所属
まず JMSCA の下部組織で、各都道府県に所在する山岳連盟(岳連)という団体があります。スポーツクライミング指導員(SC指導員)になるには、岳連の個人会員もしくは、岳連加盟の山岳会に入会します。
鹿児島の岳連は、個人会員という制度はあるものの山岳会所属を推薦しています。
SC指導員の受験資格
次に、受験資格があります。
特に『指導実績が2年以上』と『グレード5.10以上をリード』の2点は履歴書に経歴を記入しなければなりません。SC指導員を意識したところから、5.11を取りに行き、後輩の指導にも積極的に関わるようにして下さい。
年齢は、満20歳以上のもの(受検年度の4月1日現在)
日本スポーツ協会の所定の共通科目(Ⅰ)を修了、あるいは修了予定のもの
スポーツクライミングの指導実績が2年以上あること
指導的立場にあり、知徳円満にして指導者として活動の意志があるもの
都道府県山岳連盟(協会)に所属し、同岳連(協会)が認めるもの
グレード5.10以上をリードできると判断されたもの
人工壁において、初心者の指導実績を有し指導できると判断されたもの
JMSCA の “SC指導員、SC上級指導員の受験資格” より。
02. SC指導員養成講座の申し込み
毎年5~6月の2か月間
“JSPO – Q&A” には、『毎年6月の1ヶ月間』と記載され、 “JSPO – 資格をとりたい!” には『5月~6月』と記載。
毎年申し込み時期が変わるのかは JSPO に問い合わせても不明だそうです。講習会には定員があるので早めの行動が間違いありません。
JSPO および都道府県体育協会は、 “指導者マイページ” からの申し込みを進めています。システムは整っていますが、コンピューターがない環境などを配慮して実施する団体により申し込み方法は異なります。実施団体に申し込み方法を確認してから申し込んでください。
“JSPO – 資格をとりたい!” の “実施団体一覧” や “実施競技一覧” で実施団体が確認できます。
鹿児島県体育協会
099-255-0146
890-0062 鹿児島県鹿児島市与次郎1丁目4-20
03. 講習会とカリキュラム
こちらの科目は上記で申し込んだ “02. SC指導員養成講座の申し込み” とは別に、それぞれ申し込みが必要です・・・。面倒でしょう?
では、 “02. SC指導員養成講座の申し込み” で申し込んだのは何だったんですか ! ・・・ってね。
共通科目Ⅰ / 都道府県体育協会が実施
専門科目 / 競技団体が実施(SC指導員の場合は岳連)
JMSCA の “スポーツ指導者になるには” より。
共通科目Ⅰ
“共通科目Ⅰ” が免除となる資格(同等の資格)は “スポーツリーダー(スポーツ指導基礎資格)” があります。スポーツリーダーのほうが機会も多いので、こちらを選ぶ方が一般的です。
スポーツリーダー養成講座の受講は以下の3通リがあり、鹿児島だとスポーツ少年団を利用する方が多いようです。
スポーツリーダー養成講座の受講
NHK通信講座
スポーツ少年団
JSPO が認定した団体が実施する集合講習会
専門科目
“専門科目” は、岳連(場合により岳連母体であるJMSCA)が実施します。
“JSPO – 資格をとりたい!” の “実施団体一覧” や “実施競技一覧” で実施団体を確認し、その都道府県下の岳連が管轄します。通常は “02. SC指導員養成講座の申し込み” で記載したeメールアドレスに申し込みフォームを送ってくるはずですが、念のため、その実施団体に申込書類入手方法と申込期限を聞いてください。
2018年度の申込書例
公認SC指導員養成講習会受講申込書
SC指導員講習会認定申請者 クライミング履歴書
SC指導員講習会認定申請者 クライミング履歴書記入例
岳連と年を書き換えれば、他県でも使えるかもしれません。
04. SC指導員の登録
共通科目と専門科目、晴れて合格したらスポーツクライミング指導員の登録手続きを行います。
登録手続きは “JSPO – 指導者マイページ” から行います。
HPヘッダーメニューの “資格を取りたい” から “免除免除申請” に進み、免除申請から資格番号や登録番号など申請します。
添付書類には、共通科目と専門科目の終了証などをスキャンした画像を添付します。
添付画像はスマホで撮影した写真でも構いません(JSPO 確認済み♪)。
どうでもいいことですが “免除免除申請” と免除が2回続くのは、共通科目と専門科目の2科目免除という意味です。業界用語のようなものです。
ところで2019年6月現在、 “登録手続き” の “初めて登録する方” には、『前年度の講習会修了者(「スポーツリーダー」資格除く)は、10月1日付けの資格認定を行います。』と記載があります。前年度とは3月31日までを連想しますが、正しいのは『前年12月01日~5月31日申請は、10月1日付け資格認定。06月01日~11月30日申請は、翌年04月01日付け資格認定』です。
05. SC指導員にかかる費用共通科目 | NHK¥23,100 or 少年団¥3,500 |
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専門科目 | ¥15,120 |
登録基本料 4年間 | ¥10,000 |
資格別登録料 4年間 | ¥2,000 |
初期登録手数料 初回のみ | ¥3,000 |
スポーツ少年団
JSPO 直属のスポーツ少年団。なぜSC指導員に関係するのか・・・意味不明な方へ。
スポーツ少年団が開催する講習会は、 “スポーツリーダー” と “スポーツ少年団認定員” の2つの資格が2日で完了。お得です。
鹿児島県下でも主要地5回程度と地方でも開催頻度が高く、受講料もNHK通信講座の1/5以下と時間と費用がとても魅力的なので、スポーツリーダー資格を得るためにその制度を利用する方も少なくありません。ただ、スポーツ少年団指導者に登録しないとスポーツ少年団が開催する講習会には参加できません。正確に言うと、登録者もしくは次年度に登録が見込まれる者。参加できないこともないけど、定員のときは、登録者を優先するということです。
登録は、鹿児島市スポーツ少年団事務局など市町村単位が管轄する事務局に、岳連がお願いするという形なので、この部分は個人では難しいですね。
指導者登録締切りは、2018年の例で7月6日。例年では6月くらいから講習が始まりますので、年度切り替えの4月中に登録を考え岳連にお願いすれば問題ないと思います。
岳連が抜けていることもあるので、『登録されたらどうやってわかりますか?』と聞いてください。
それと登録は年度単位ですので、例えば2018年の8月に登録したから、2019年の6月の講習に申し込めるというわけではありません。ところでスポーツ少年団の立場から言うと、スポーツによる青少年育成のために予算を割いているわけで、スポーツリーダー養成のための講習ではない。スポーツ少年団の活動に興味ない方は、こっち来るな ! NHK通信講座へ行け !! というのが本音です。
だから、この制度を利用する方はスポーツ少年団のクライミング活動にも積極的に関わりましょう。な~に、岳連へ『スポーツ少年団に何かお手伝いできることはないですか?』と聞いてサポートできることがあったら名乗り出ればいいのです。
指導員受講で気を付けること
スケジュール把握をしっかり
講習や試験のスケジュールは人任せにせず自ら調べます。各スケジュールをあらかじめ把握してパラレルに動かないと、1年を棒に振ることになったり、都合のいい地域での開催を逃すと余計な交通費などの出費が増える羽目になります。
SC指導員の受験資格に必要な条件を整える
SC指導員養成講座申し込み、毎年5~6月の2か月
スポーツリーダー(共通科目Ⅰ)講座、開催スケジュールと申し込み期限(スポーツ少年団を利用する方は、指導者の登録、受講申し込み、受講日程と場所)
専門科目講座、開催する場所と日程と申し込み期限
見えない落とし穴
SC指導員受験には直接関係なく、そもそもな話ですが・・・
都道府県山岳連盟(岳連)加盟でない山岳会に入会しても、岳連個人会員という手段は残されています。しかし、岳連に加盟していないということは、スポーツクライミングを嫌っているとか、岳連とその山岳会の偉い人どうし折が合わない・・・などネガティブ材料が潜んでいるかもしれません。
クライミング技術は日進月歩で改版され、それらは、岳連主催のクライミング講習会などを通して入ってきますので、フリーランスの山岳会に入会しても、キチンと世界レベルの技術を身に着けたい方は、結局は加盟山岳会に入会し直す・・・とういことも実際にある話です。これは鹿児島に限っての話ですが、決定的なのは鴨池クライミングウォールなど人工壁の利用。ロープの微妙な制動技術はリードとフォールとロワーダウンを何回も何回も反復して身に付くもの。つまり、人工壁でしかビレイ技術を磨くことはできません。
ネガティブ材料があると当然鴨池ウォールは消極的です。
ハッキリ言いますと、現場で身に付くと思っている方は、高度なビレイ技術とはどういうものかを知らない方です。岳連に頼らなくても、高水準の技術を身に着けバリバリこなしているアルパインキチガイも実際に存在します。
しかし、初めて見るビギナーは違いが判りません。
特に鹿児島のような地方では、世界スタンダードの技術がベースであるアルパイン技術なのか?判断できません。その様な場合にも、外の情報が入ってくる岳連主催の講習会や公認ライセンスは役に立ちます。
岳連講習などを実際に体験できず選択肢が閉ざされるというのは、右も左も分からないビギナーにとって不幸な話です。
基礎に最新の安全技術を身に着けていれば、さまざまな方から様々なアドバイスを頂いても、ブレることなく基礎にそのアドバイスを重ねていけるでしょう。